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メガ 盛り スロット 900i旋風は、今のところ「そよ風」程度しか吹いていないようだ。

 TCA(電気通信事業者協会)が3月5日に発表した最新資料によると、2004年2月の純増数はauの純増27万3800契約に対して、NTTドコモは純増8万4400契約、その後にボーダフォンの純増6万4900契約が続く。第3世代携帯電話(3G)への移行を回避し、シンプル路線を取るツーカーは純減1万400契約になった(3月5日の記事参照)。

 NTTドコモが「世界最強の3Gケータイ」(同社iモード企画部の夏野剛部長)と自負し、業界内ではauキラーと評された900iシリーズは、2月の段階ではF900i、N900i、P900iの3モデルが投入されていた。N900iこそ初日完売が目立ったが、他のモデルは都市部を中心に潤沢に在庫もあり、900i全体では品不足は起きていない。それでも純増数においてauに負けてしまった。さらにNTTドコモ九州では、営業本部の幹部ら8人が、契約者数を約800人分水増しするという前代未聞の不祥事まで起こしている(3月5日の記事参照)。

 TCAのデータを見てみると、900iを含むドコモの3G「FOMA」自体の伸びは悪くない。純増30万7700契約であり、それだけ見ればauの純増数を追い抜いている。その一方で、第2世代携帯電話のムーバ(50x / 25xシリーズ)は純減22万3300契約。これは900i購入者のほとんどがムーバから900iに機種変更したドコモユーザーであり、新規ユーザーや他キャリアユーザーの獲得には900i効果は表れていないことを意味する。

 むろん、ドコモは累計シェアで56%を持つガリバーなので、現在2Gを使うユーザーを900iに移行させるだけでユーザー数の上ではauの3Gを圧倒できる。巨大な累計シェアの前には、毎月の純増数での競争などちっぽけに思えるかもしれない。

 だが、純増数で3倍以上の差をつけられて負けているということは、ドコモにとって危険な兆候である。

“国産セダン衰退の道”にも似たドコモの現状

 純増数での敗北は、進化やコンセプトでの提案力が減退し、端末からサービスまであらゆる面で既存ユーザーばかりを見た「内向き」になりつつある事を意味するからだ。

 実際、900iも新機能を見れば、それが従来のiモードやFOMAが実現していたもののアップグレードと洗練に過ぎず、新たな利用シーンや世界観の提案がほとんどないのに気づく。着うたからパケット料金定額制まで、最近の新たな提案は、そのほとんどがau発である。

 ドコモの今の状況は、クルマの世界で例えるならば、国産セダン衰退の道に似ていると思う。既存ユーザーだけ見ていても商売になるからと、内向きな進化をしていくうちに、新しい時代の新しいユーザーから“ずれ”ていってしまう。iモードは1999年の登場当時はユーザーと共にあり、あらゆる意味で革新だった。しかし、今はその内に保守性を抱えてしまったのではないか。

 一方で、auの、特にCDMA 1X WINには、荒削りだが、確かに新しい時代を創ろうという気概があり、その姿勢にユーザーが共感し始めている。

 筆者が毎月インタビューしている都内大手電気店携帯電話売り場の販売責任者は、「最近、既にauユーザーの友達と一緒にauにキャリア変更しにいらっしゃるお客様が目につくようになってきました。指名買いが他社より多いのは相変わらずですね」と話す。

 また若年層や女性が集まる掲示板でも、口コミでau人気が高まっている。特にCDMA 1X WINのパケット料金定額制に対する関心は日増しに高まっている印象だ。

 NTTドコモは今後、900iの派生バージョンとして、映像機能を強化した900iV、Bluetooth内蔵の900iT、非接触ICのモバイルFeliCa内蔵の900iC、GSMデュアル端末で海外で使える900iGなど、さまざまな派生バージョンを投入する予定だ。

“ドコモの一人勝ち”時代は終わりを告げる

 この中で、NTTドコモが「携帯電話の世界を変える」と考えているのが、900iCに搭載するモバイルFeliCaだ(2月26日の記事参照)。

 「携帯電話は今後、ITインフラだけでなく、生活インフラになっていく。その中でモバイルFeliCaは携帯電話のステージを変える力を持っています。一方、これ以上、メディア機能を強化しても、それは段々ニッチなものになってしまう」(夏野部長)

 モバイルFeliCa対応の900iCは900iの派生バージョンとして今年の夏登場だが、「その次の90x主力モデルでは、モバイルFeliCaは標準搭載になります」(夏野部長)。

 900iはこれまでのiモード世界の集大成だが、次の90xシリーズは「これからの世界」のひな形になる。iモード、iアプリに続く、ドコモからの新たな提案である。これこそがドコモの「外向き」のメッセージだ。

 一方、auもCDMA 1X WINで「これからの世界」を模索している。こちらは定額制とリッチメディアの融合をもとに、ITインフラとメディア端末としての進化を突き詰めようというものだ。

 今後、どちらの「これからの世界」が多くのユーザーの心を掴むかは、今のところ不分明。しかしひとつ言えるのは、これまでのように“ドコモが横綱相撲を取るのは難しい”ということだ。

 なぜなら、今のauの強さは、ユーザーが抱く「auはセンスのよい選択」という気分に多分に影響されているからだ。auは端末のデザイン向上、リスクを厭わず新分野を切りひらく革新性と挑戦者精神、ユーザー本位のガク割やパケット料金割引の投入などを通じて、よい雰囲気作りを行っている。一方、ドコモの900iでは、新たなユーザーと新たな時代に対する雰囲気作りで役者不足。どうしても内向きの進化である印象は拭えない。

 今の状況では、機能や総合力でauの上をいっても、それはドコモユーザーの「ドコモ離れ」を食い止める効果しか期待できない。

 モバイルFeliCaを鍵にした新しい携帯電話のスタイルを創るのならば、急いで端末とサービスを投入しなければならない。さもなくば新しい時代の雰囲気作りでauに出遅れてしまう。準備が遅れれば、それだけ新しいサービスを積極的に使う意欲のある高感度ユーザーをauに獲られてしまうだろう。ドコモには「時間がない」のだ。

 ここ最近の純増数での負け越しは、それを表しているのではないだろうか。

神尾寿

通信・ITSジャーナリスト。IT雑誌契約ライターを経て、大手携帯電話会社の業務委託でデータ通信ビジネスのコンサルティングを行う。1999年にジャーナリストとして独立。通信分野全般に通じ、移動体通信とITSを中核に通信が関わる分野全般を、インフラからハードウェア、コンテンツ、ユーザーのニーズとカルチャーまでクロスオーバーで見ている。ジャーナリストのほか、IRICommerce and Technology社レスポンスビジネスユニットの客員研究員も努める。

▼急接近する自動車とケータイ携帯電話と自動車。一見すると異なる“業界”が互いに急接近している。両者のクロスオーバーがモバイル業界に与える影響は大きい。

▼携帯電話が財布になる日料金代行徴収の拡大、非接触ICチップ、赤外線を使ったクレジットカード決済……。携帯電話を財布にしようとする試みは、大きくこの3つが進行中だ。それぞれ得手不得手があり、課題もそれぞれ異なる。現在の状況をまとめ、「携帯電話はどうやって財布になっていくのか」を考えていこう。

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